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グルメストーリー

連載Web小説 二人のグルメちっくストーリー

【第8話】春の予感

グルメストーリー 連載Web小説 二人のグルメちっくストーリー こうしてのんびりお茶していると、なんだかここだけ春みたい。
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【第8話】春の予感

こうしてのんびりお茶していると、

ヨコハマスカイ 2F 「マザーリーフ」にて

オトナの男性が「バレンタインデーだからチョコくれよ」なんて言いだすのもどうかとは思うけれど、とっくにその日を過ぎているのに何もリアクションがないなんて…ちょっとなあと思う。

今年のバレンタインデーは平日で、その前の週末にはお互いどうしても都合がつかなくて会うことができなかった。照れているのか、それともバレンタインデーなんてそもそも意識してないのか、彼の話題にものぼらず、私の旅行カバンにチョコレートは入ったまま…。

今日は最初、新横浜で待ち合わせようということになっていた。でも、あまりにも天気がいいので新幹線の時間まで横浜をぶらぶらしてランチでも、ということになった。

早めに着いてしまったのでカフェに向かった。オープンテラスの席で彼に居場所をメールする。まわりは陽ざしに包まれ、ケータイの画面が見えにくいほど明るい。

「たぶんこっちからくるな」と思いながら眺めていると、思ったとおり彼が小走りにやってきた。
ここでランチをすませようということになった。

なんだかここだけ

「浜松ってこっちより暖かい?」

「べつに感じないなあ。少しは違うのかも知れないけど」

「ふーん」そうだよね、そんなにものすごーく遠いところというわけじゃないもんね。そう思いながら彼の言葉にうなずく。

赴任先の彼のマンションに行くのは今回が初めてだ。今さら緊張するなんてどうかしてるとアタマではわかっているのに、会話がどこかチグハグな自分がおかしい。ランチを食べても、調子はあいかわらずだった。彼はのんびりと明日の予定なんかを話しはじめる。

「天竜のほうにちょっと面白い美術館があるんだ。ドライブがてら行ってみようよ」

「うん」 なんとなく上の空の私のせいで、また会話が途切れる。

両手で包むように持っていたティーカップを見つめながら「何かしゃべんなくちゃ」と気が焦る。
まるで中学生の初デートだ。
春みたい。

「今日、あったかくて春みたいだよね」

「そう?」彼が首をかしげる。「いや、やっぱりまだ冬だよ」

「そっか、私だけか。でもいいや、私だけ先に春がきたって感じで」

私の言葉に彼が笑いだす。

「そろそろ時間だ。新横浜に向かおう」立ち上がろうとした彼に、「ちょっと…」と声をかける。そういえばバレンタインデーのチョコレートのことを忘れていた。とっさに、それを渡そうかと思った。
「何?」と彼が答える。
「ごめん、やっぱりいい」考えてみれば今じゃなくていいんだった。
これから私は彼の街まで行って、いつもよりいっぱい一緒の時間を過ごせるんだから♪

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最終話へ続く ...



次回:グルメストーリー【最終話】プロポーズ(3月9日更新)
ケータイに届いたのは「特別な日なのでごちそうします」という彼からのメール。また何か企んでるな、と予感はしていたけれど…。2人のあいだにも、春が到来。「2人のグルメちっくストーリー」いよいよ最終話です。
 

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